specht’s blog

主に漫画の感想を

しまなみ誰そ彼(1)~(3)

 なんとなく久しぶりに初音ミクの初期の頃の楽曲を聞いたら、懐かしさに泣いてしまった。もう十年か、早いなあ。ボカロ界隈はカゲロウデイズあたりを堺に離れたのでそれから後の曲はほぼ知らないが、昔のほうがいい曲が多かったように思えるのは思い出補正なんだろう。

 

「しまなみ誰そ彼(1)~(3)」鎌谷悠希

キラキラ感はあるのに線がきちんと閉じて(バケツ塗りをしてもはみ出さないような)いて、目の描き方といい結構独特な絵柄だと思った。BL、GLが巷にあふれる今日この頃だが、意外と性的マイノリティそのものをメインテーマに据えているストーリー漫画は多くない。この作品は同性愛、性同一性障害、女装癖(?)等それぞれの悩みを一つ一つ丁寧にえぐり出していると思う。周囲の理解度が漫画にしてはかなり低めに設定されているが、実際現実もこのぐらいのレベルかもしれない。誰がホモらしいとかいうのはやっぱり噂になるしね。かくいう自分も理解があると言い切ることはできない、というよりマジョリティ側が自分は理解しているなんて言い切ろうものならそれこそ理解していない証になりかねない。悲しいかな当事者でない人間が自信を持ってできるのは黙っておくことくらいだ。ところで電通ダイバーシティラブによると日本には7.6%の割合でLGBTがいるらしい。左利きの人と同じくらいの割合だそうだ。そう言われれば確かに、LGBTの人を見かけるのは左利き用ハサミ(箸や鉛筆でなくハサミというのがミソで、わざわざ左利き用が置いてあることが少ないため左利きでも右で切れる人が多い。)を使う人を見かけるのと同程度の頻度である。黙って右利き用ハサミを使う左利きと、黙っているLGBTと、結構近い割合なんじゃなかろうか。なるほどよく聞くクラスに○人とかの数字の割に日頃存在が無視されているのも納得だ。無視というより忘れられているといったほうが近いかもしれない。………だいぶ話が漫画からそれてしまったがかなりいい漫画だった。椿くんのこれからが気になるところ。